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DIY工房IZUMI
この工房では、あなたが作りたいものをお手伝いします。基本的な木工機械がすべてそろっています。さらに、アーク溶接機やプラズマ切断機もあります。木工と金工ができる工房です。

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Author:DIY工房IZUMI
中学校の社会科の教員を定年退職して、工房の活動を始めました。「体験を通して学ぶ人間の歴史」をテーマに授業をしてきましたので、「楽しいものづくり」の世界がたくさんあります。ここは「あなたが作りたいもの」を作る工房です。そのための機材が整っていますので、ぜひご利用ください。



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和鉄

2012年9月29日(土)和鉄の刃物完成


和鉄を用いて作った切り出しの、仕上げ研ぎが終了しました。


桐の箱を作り納めました。

028 1号 


表側全体です。


001 全体1 



裏側全体です。本来は火造りの段階できっちり刃裏を出し

ておくべきだったのですが、これが不十分なため、裏が無くなって

しまいました。そのため研ぎの段階で、リューターで削るという

本来はやらない方法を取りました。本来はセンで削るべきもの

です。(自宅にはセンがないため)


022 裏 



写真では見えにくいのですが、刃線部に数か所0.2ミリほどの

欠けが出ました。そこで刃をつぶして欠けを取り除き

再度研いでみました。しかし、研いでいるうちに、また欠け

が出てきました。

020 拡大 

==================

全体の総括 

① これまでに、三条鍛冶道場で、洋鉄を使って、切り出しや

包丁を10丁ほど作ってきましたが、和鉄で作るのは初めて

で、大きな不安がありました。

② 不安の第一は、鍛接がうまくできるかということでした。

これは洋鉄とほぼ同じ要領でうまく出来ました。

③ 最大の不安は、焼き入れで、焼き割れを起こす

のではないかと言うことでしたが、これは1回で成功

しました。焼き入れの温度はおよそ770度で、これを見極める

のは、鉄の色で判断するのですが、補助具として、

これを使いました。名付けて「キューリー点探知棒」です。

031 キューリー 

アルミの角パイプに磁石をつけた物です。

032 磁石 

これは三条鍛冶道場で教えてもらった方法です。

鉄を赤めて温度を上げて行くと、770度前後で磁石に

つかなくなります。この性質を利用して焼き入れ温度を判断

します。これを「キューリー点」とか「キューリー温度」と

言います。「就士会」に参加している、大橋延夫さんが、

「キューリー点」についてメールで教えてくださったので、

紹介します。

=================

さて、お訊ねのキューリー点( Curie point)に
関する要点を

改めて下記しますのでご参照
ください。
名称:これを発見した Piere Curie (ノーベル賞受賞者)の

名前から付けら
れた。彼は有名なキューリー夫人

Marie Curie ; 同じくノーベル賞
受賞者)の夫。
定義:強磁性体が常磁性体に変わる温度。
 :鉄、コバルト、ニッケルは低温では強磁性体だが、

   それぞれ
770℃、
1,115℃、354℃を越えると常磁性体

   になる。これらの温度がそれぞれ
の金属の

   キューリー
温度( or 点)。
結晶形との関係:鉄は低温から916℃までは体心立方格子、

そこから
1,396℃
までは面心立方格子、そこから融点1,536

までは又体心立方格子と変態
するが、916℃に達する以前の

770℃で常磁性体になってしまう。
コバルトは低温では

六方晶格子で417℃以上では面心立方格子に変わる。
ニッケルは面心立方格子で融点まで結晶形の変態はない。
このように、結晶の形と強磁性あるいはキューリー温度とは

関係がない。
強磁性、常磁性、反磁性の定義   

外部磁場( 強さH
)の中に物質を置いた時、物質の

内部に誘起される
磁場の強さを B、そして B = μH とすると、

この
μ を透磁率(magnetic
permiability)と称し

 μ 〉 1 ------- 強磁性体(外部磁場の強さより強く磁化される)
μ ≑ 1 ------- 常磁性体(外部磁場の強さとほぼ同じ強さに

磁化される)
μ 〈 0 ------- 反磁性体 (外部磁場とは反対向きに磁化される)
  

と定義される。
したがって、常磁性体も磁化されているのだが、

外部磁場がなくなると
磁性を示さないことになる。

一方、強磁性体は外部磁場がなくなっても
残留磁気が残るもの

があり、これを永久磁石という(残らないものもある)。
 なお、金属自身がはっきりした強磁性体なのは、

鉄、コバルト、ニッケル
しかないが、酸化物や合金の一部、

例えば マグネタイト(FeO・Fe2O3)とか
NiO・Fe2O3CrO3
 
なども強磁性体で、その他にも多数のものがあり、それぞれ
のキューリー温度がある。
 以上とりあえず基本的なことだけですが、お答え申し上げます。

=================

④ 焼き入れの次の不安は、研ぎがうまくいくかどうか

でした。研ぎ自体はそこそこに出来たのですが、刃線部分に

細かい(0.1~0.3ミリ)の欠けが数か所出て、これが取れ

ませんでした。どこに問題が有ったのかを検討しなければ

なりません。

⑤ 刃裏の作り方は明らかに不十分でした。

火造り段階で整形をしっかり行うことで解決できそうです。

⑥ 研ぎについては、同じ砥石を用いて、自作の洋鉄の

切り出し2丁と比較しました。大きな差は認められません

でした。しかし、砥当たりは滑らかなような気がしました。

仕上げ砥石(天然砥石)を使用中の、砥クソの出具合は、

洋鉄より良いと思いました。
 
(下の写真は工房の研ぎ場です)
045 研ぎ場

⑦ 切れ味については、自分が作った洋鉄の切り出しと

比べて、格段に良いということを期待したのですが、

それほどではありませんでした。ほぼ同じくらいの

切れ味ですが、刃の角度によっては気持ちよく切れる

部分が存在します。これから色々なケースで切り比べて

見ないと確定的な判断はできません。

(上の2丁が三条鍛冶道場で作ったもので、下は刃物屋

で購入した中級品です。)
042 洋鉄 


⑧ 私どものような素人が和鉄で刃物を作ろうと

するときに重要なことは、

・プロの鍛冶職人の技術を学ぶ

・金属に関する科学的な知識と方法論を学ぶ

ではないかと思います。


※ 明日の「就士会」で松田刀匠をはじめとした

皆さまに見ていただき、評価を受けたいと思います。