DIY工房IZUMI
この工房では、あなたが作りたいものをお手伝いします。基本的な木工機械がすべてそろっています。さらに、アーク溶接機やプラズマ切断機もあります。木工と金工ができる工房です。

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Author:DIY工房IZUMI
中学校の社会科の教員を定年退職して、工房の活動を始めました。「体験を通して学ぶ人間の歴史」をテーマに授業をしてきましたので、「楽しいものづくり」の世界がたくさんあります。ここは「あなたが作りたいもの」を作る工房です。そのための機材が整っていますので、ぜひご利用ください。



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日本刀研修 甲伏せ

10月31日(日) 松田次泰刀匠宅にて
「甲伏せ」という作刀工程

145 トップ

※ 日本刀に関する記事は、トップページ左側のカテゴリー
「鉄と日本刀」の中にあります。
前回は「折り返し鍛練」の工程をご紹介しました。
今回は「甲伏せ」の工程をご紹介します。

まずは「玉鋼」(たまはがね)の説明です。

017 玉鋼説明 

手前が十数年前のもので、奥の光っているのが最近購入した玉鋼です。
参加者の「玉鋼もさびるのですか?」という質問に、サンプルとして出してきたものです。
この研究会の素晴らしいところは、質問したことに対して、このように実物を示して答えていただけるところです。

鉄や日本刀に関心のある方でも、玉鋼を手にとってご覧になった方は多くないと思います。
ここでは、手にとって見ることができます。 さらに、優れた玉鋼とそうでない玉鋼についても説明してもらえます。



下の写真は「甲伏せ」の概念図です。
中に入れ込む「心鉄」(しんがね)と「皮鉄」(かわがね)の関係を説明しているところです。
「心鉄」も「皮鉄」も「玉鋼」です。両者の違いは炭素量です。
心鉄の炭素量は0.4%で、比較的軟らかい鉄です。皮鉄の炭素量は0.7%比較的で硬い鉄になります。この部分が刃になるところです。


028 心鉄皮鉄 

硬いだけでは折れやすくなるので、中に柔らかい鉄を入れて粘りを出します。
「折れず曲がらず良く切れる」という、刀としての性能を満たすために考案された構造です。
また、このような構造が日本刀の美しさを内部から導き出すことに一役かっているのではないかと思います。(これは私の素人判断です)

西洋の刀は「丸鋼」(まるはがね)という作りになっています。一種類の鋼だけで作られています。この構造において、「折れず曲がらず良く切れる」ことを追及するので、それなりの形状や大きさ、使用する鉄の量が決められてくるのでしょう。

日本刀の場合は、「折れず曲がらず良く切れる」ということに加えて、「美しさ」がなければなりません。(この件に関しては次回以降に紹介します)

042 甲伏せ・す延べ 

上の写真の図は、亀の甲をかぶせたイメージがよく分かります。このような状態にしたものを打ち延ばして、刀匠が手にしているような刀身にしていきます。


下の写真の上の長方形をしている部分が「心鉄」になる部分です。
048 心かね 


下の写真で、松田刀匠が左手にしているのが、折り返し鍛練を9回行った、下鍛えをした材料で、これが皮鉄になる部分です。

020 玉鋼・下鍛え9回 
これを火床に入れて沸かします。
松田刀匠は比較的低い温度でじっくり時間をかけて沸かすそうです。時間が短いと表面だけ湧いて中が湧かない状態が起きるとのことです。


火床では炭が炎を上げています。

269 火床炎 


丁度良いころ合いを見計らって取り出します。
271 取り出し 


ワラ灰をまぶします。
272 藁灰まぶし 
ワラ灰は、前回にも書きましたが、不純物を取り除く役割をします。


そして、スプリングハンマーで叩きます。
火花が飛び散っています。これは、ワラが溶けた状態になって、これと一緒になった酸化鉄の不純物(スケール)が飛び散っているのです。ワラ灰は重要な役割をしていることになります。
「ワラがなくては日本刀が作れない」と言っても過言ではないくらいです。
今日は刀匠から興味深い話を聞きました。もち米のワラ灰ではだめだそうです。火床に入れると、灰がなかなか溶けずに鉄の方が先に溶けてしまうそうなのです。
どうもシリカの含有量の違いからくるようです。それにしても、不思議な話でした。

279 スプリングハンマー 

10回目の折り返し鍛練を行い、その次に甲伏せの溝を作ります。
上の写真では、鉄が白っぽく写っていますが、実際の色は下の写真に近い色です。
写真で色を正確に表現するのは難しいです。

302 この色正しい 


ここで切り離します。
321 切る 


手打ちで切り離します。
326 切れる直前 



切り離したものをスプリングハンマーで叩き、形状を整え、内部の状態を調整します。

339 スプリング加工 

手打ちで細部の調整を行います。デリケートな加工はすべて手打ちでないとできません。

379 手打ち 

表面は常に下の写真のように酸化鉄の不純物が出現します。

これは取り除かないと、さまざまな悪さをします。

380 アップ 

下の写真は、U字型の溝をつける型です。

396 溝型 

下のようにして溝を作ります。

398 叩く 



亀の甲の状態になりました。状態を観察しています。

402 丸くなった 



さらにスプリングハンマーで叩いて、必要な形状に作りあげていきます。

405 さらに丸く 


大体の形ができました。


416 こうなった 



仕上げは手打ちで行います。

424 手内で 


心鉄を入れたところです。


460 立って


428 心鉄入れ込み 

最初は心鉄を加熱していない状態で入れて、皮鉄を叩きます。

皮鉄の中心に心鉄が入らないといけないので、慎重に調整します。

峰になる部分がつきにくいので注意が必要だそうです。

この写真はストロボ撮影なので、ちょうど表面の不純物飛び散っている状態が見えます。


430 水平打ち  

こちら側からも叩いて形状を整えます。

433 きっちり入れる

慎重にチェックをします。

434.jpg 

さらにスプリングハンマーで叩きます。

443 スプリングで 

そして、ここで一回心鉄を外します。

450 取り外す 

皮鉄だけで調整します。

454 手内で調整 

再度心鉄を入れて叩きます。

459 もう一度入れて 

またスプリングハンマーにかけ、強力に接着します。

462 スプリングで 


464 スプリング刀匠  



最終的に手打ちで仕上げます。


465 手打ち 


下の2枚が「甲伏せ」の工程の完成状態です。


470 完成


475 冷却 

ここまでが1部で、2部は下の囲炉裏に架けた鍋で、けんちん汁のお蕎麦タイムです。

このほかに、天ぷら、お漬け物、焼き芋、コーヒー、紅茶などが出されました。

毎回奥様の手料理のおもてなしがあり、

「こんなにしていただいて申訳がないな」と思いつつ、毎回たくさん食べてしまいます。

491 食事 

この野外囲炉裏は、松田刀匠の手作りです。

この後は、母屋に入り、刀の鑑賞会を行いました。毎回、刀を見る勉強があります。

495 手入れ 


516 刀 


517 鑑賞 

今回は外国からのお客様もあり、国際色のある研修会になりました。

「鉄は熱いうちに打て」と言います。「ブログも熱いうちに書け」です。

なんとか今日中に終了できました。

※ 本日研修会に参加された皆様、お疲れ様でした。この内容に間違いなどがありましたら、

トップページ左側にある、「メールフォーム」よりご指摘いただけるとありがたいです。